コーヒーガソリンスタンド

はじめてコーヒーを飲んだのが覚えている限りたぶん4歳、その頃おじいちゃんは60代だった。

 

幼少期、わたしはおじいちゃんとふたり、山だったりギャラリーだったり川だったりに、保育園をズル休みしてドライブしていた。

 

今の保育園の制度だったらダメだよねズル休み。昔もダメだったのかもしれないけど、ほんとによくドライブに連れ出されていた。

 

そこで、ドライブの途中で寄るガソリンスタンドがすごく好きだった。

ガソスタの匂いが好きなのも幼少期の刷り込みである。自分は運転する人にはならなかったけど。

好きだった理由は、たまに貰える飴ちゃんと、ものすごーーーく甘くしたコーヒーを飲めるから。

練乳でも入れてるのか?と思うほど甘かったコーヒー。大人になった今、いつもの3倍分砂糖とミルクを入れても同じ味にならないから、ほんとは何倍入れてたか恐ろしくて実験できない。

しかもおじいちゃんはそのコーヒーを作るのが面倒だったのか、孫の健康を気遣っていたのか、たまにしか作ってくれなかった。

冬のガソリンスタンドで給油を待っている間、スタンドの人と談笑してなかなか戻ってこないおじいちゃんを、甘いコーヒーをチビチビ飲んで待っていた思い出。

ガソリンがクルマにどっくんどっくん入っていく音が、小気味良いやら不可思議な機械に怖いやらで、白い息をハーっとしながら待っている時間は無限に続くようだった。

 

少し大きくなって小学生くらいになった頃、朝ご飯にコーヒーを出されて飲んだとき、めちゃくちゃ苦くてまずくて(砂糖とミルクは入れてもらってた、たしか)もういらないとほとんど残し、父親に怒られたこともあった。

 

今でもミルクがないと飲めないし、正直コーヒーの味が全くの味音痴、違いのわからない大人に育ってしまったが、

寒いときに飲むときとか、手持ちで持ち帰るときのワクワク感は、ガソリンスタンドのコーヒーがあったからだろう。

 

おじいちゃん、あのとき砂糖何杯入れてたの?

あと、早く帰ってきて欲しいなぁって寒い車の中で思ってたよ。

ドライブ連れてってくれてありがとう。